車酔い日記

車に酔ってスマホを触れない間に考えたことを書くブログです。

1月に読んだ本

読んだ本の記録でもするか。続くかは不明。

成瀬は天下を取りにいく/宮島未奈

滋賀県が舞台の青春小説。書店で長いこと推されていて、表紙がいいのとサイン本があったので買っちゃった。

中身はまさしく青春小説と呼ぶにふさわしいもので、主人公の成瀬というおもしれー女が周りにいろいろ影響を与えつつ突き進んでいくみたいな話。成瀬のキャラが立ってたし、面白いだけでなくちゃんといろいろ考えて悩んでるという描写があったのも良かった。

中盤に成瀬全然関係ない話が始まるのと、その時の時系列が分かりにくいのはちょっとなーと思った。終盤の展開に重みを持たせるためなんだろうけどそれにしてはエピソードの後味が薄かったし、それやるくらいならもっと色々な視点から成瀬を見た話が欲しかった。親とか先生とか。

なんか構成とかいろいろ考えちゃってこういう作品が素直に響かなくなってるな。

 

十角館の殺人/綾辻行人

国内推理小説の代表作みたいな扱いなのでいつか読まなきゃな~と思っていた本。近く実写化するらしく、推されていたので買ってみた。

孤島の別荘?に集まった大学生7人が1人ずつ殺されていき……という定番の設定。犯人が誰なのかという結末も面白かったが、その明かし方がお洒落で良いなーと思った。実写化にあたっては「あの一行の衝撃!」みたいなことが言われていたが、確かに一行で得られる衝撃としては極上だった。

一方で、犯人がやっていた下準備とか犯行のことを考えると何か引いてしまうというか、「そこまでやります?」みたいな気持ちになってしまう部分もあったな。そりゃ理論的にはできるだろうけど実際そこまでやんのか?という思いが頭をもたげてしまうというか。
まあ殺人って死体というでかい証拠も残るし、アリバイも固めないといけないので準備も片付けも必要なんだろうけど、その過程を改めて見せられるとなんか醒めてしまう部分もあるのだった。蛙化現象ってこれのことかな。

自分が日常の謎を扱った推理小説が好きなのはこの辺が理由かもしれない。日常の謎では登場人物が何気なく、あるいはとっさにとった行動が積み重なって不可解な事象が起きるというパターンが結構あるので、入念な準備とかの描写があんまりない。情報を整理して推理を組み立てていくという、推理小説の美味しい部分だけを楽しめるのだ。「伯林あげぱんの謎」なんかはまさにそういった短編だったことを思い出す。

でもやっぱりこれって無責任な楽しみ方なんだろうか。推理小説が好きなら、人を殺すための泥臭い準備の過程とかにしっかり向き合っていくべきなのだろうか。

 

地雷グリコ/青崎有吾

最近の推し作家である青崎有吾の新作。女子高生主人公がいろんなゲームで対決する、言ってしまえばライアーゲーム系の作品。推理小説!って感じではないですね。

まず設定がすばらしくて、文化祭で屋上を使える一つだけの権利を賭けて、立候補した団体がゲームのトーナメントで争っている。このトーナメントの名前が、「バカと煙は高いところが好き」なので「愚煙試合」。最高だ。主人公の射守矢がこの愚煙試合を2連覇中の椚先輩に挑む……というところからストーリーは始まっていく。

趣向を凝らしたゲームで様々な駆け引きを楽しめる一方で、ライアーゲーム系作品の常としてゲームの難易度と敵の強さがどんどんインフレしていくので、終盤は「ホンマにそんなことできるか?」という気持ちが強くなっていくのを感じた。登場したゲームの中では「自由律ジャンケン」が一番好きだったかな。

20231012 まだ見ぬマダミス

※ネタバレ注意

 

『マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年』の体験版をプレイした。

store.steampowered.com

なんでも巷で噂のマダミスとやらをゲームで体験できるソフトらしい。グノーシアのマダミス版ということなのか。体験版のプレイ時間は3時間ちょっと。

基本的には事件が起こって捜査&推理のパートがあり、議論のパートを経て解決する、という逆転裁判ダンガンロンパに近い推理アドベンチャーなんだけど、マダミス要素として「密談」や「信頼度」といったものがある。

「密談」は各キャラクターと1対1で話すモードで、基本的にはここで各キャラクターの気になっていることや知っていることを聞き出して推理を進めていくことになる。誰が誰を疑っているとか、それぞれの知っていることをつなぎ合わせると新たな事実が浮かんできたりして面白い。

「信頼度」については各キャラクターにそれぞれ信頼度パラメータが設定されていて、間違ったことや疑われることばっか言ってるとそれが下がって自分が犯人にされたりするらしい。「密談」で面と向かって疑うような発言をすると露骨に警戒されるので、そのへんは慎重になる必要があるのだ。
正直体験版の段階ではリトライ回数以上の意味はあんまないというか、ダンガンロンパにおける発言力ゲージみたいなものかなと思った。ただ場合によっては疑われるリスクを覚悟で質問しなければ前に進まない状況とかもできそうなので、おいおいこのシステムが生きてくるのだろうと思う。

体験版では2つの事件をプレイできるが、どちらもそれなりに入り組んだ構成で、すぐに真相が分かるようなもんではない。少なくとも僕は分からなかった。一方で、解決に向けての誘導はかなり丁寧にしてくれるし、途中から言動が不審なキャラも出てくるので難易度は低めだと感じた。制限時間というか行動回数にもそれなりに余裕あるし。

あとはキャラクターデザインが好みなのと、ピアノを基調としたBGMが良かったのもポイント高かった。特に議論パートのBGMがいいんですよね。ゲーム全体の雰囲気にはシュタゲとかの2010年あたりの空気を感じた。
12月発売予定らしいので、ぜひプレイしたい。Switchも大型タイトルが出尽くしたところなので、楽しみなゲームができたのは嬉しいな。

 

しかし、マダミスってオタクみんなやってるよな。どういうものなのかよく分かってなかったんだけど、最近いろいろと見る機会があって、シナリオやロールプレイの凝った人狼みたいなもんだと理解した。自分が推理小説の登場人物になるかのような体験ができるらしいですね。めちゃくちゃ面白そうじゃん。なんで今までやってなかったんだ。

どうも自分の人生にはこういうことが多い。周りから勧められた時には興味を持たず、後になって面白さに気づくということが。なんなら今生活の一部になってるサッカーもそんな感じだったらしいからな。みんながやってるのには理由があるんだから、もっと素直にいろいろやってみるべきなのだ。

そういうわけなので何とかして人に声をかけてマーダーミステリーをプレイしたい所存。みんな初見の反応とか好きだろうからさ。新鮮なリアクションを提供する役をやりますってことで、ここはひとつ。

20230924 ケの食

随分更新していなかった。まあ出張の機会がめっきり減ったからね……

 

「食に興味がない」ということをよく言われるしそう自認もしているのだが、とはいえ食べるものがまずくても構わないという訳ではもちろんない。俺だって別にうまいもんは食いたいのだ。

ただ、うまいもんを食いたいというのが、日頃食べるものが自分の好みならそれで十分というだけに過ぎないのだ。評判の店に行くとか豪華なものを食べるとかそういうことには興味が全然ない。というか豪華な食事はたいてい脂っこいので普通に好みじゃないし。

つまり生活におけるハレの要素としての食事にぜんぜん興味がねーよ、という話だ。ケの要素としての食事にはむしろ興味ある方だと思う。ハレとケの使い方合ってるか?

冷蔵庫の食材で何を作るか考えるのは好きだし、スーパーに買い物に行くのも好きだ。あすけんというアプリで食事の健康度を測ったりもした。最近はnoshを使わない日にはでかいサラダを作って野菜を食べまくるという食生活をしている。筋トレと相性が良さそうだ。

単に「生活」が好きなのかもしれない。いつからこんな風になったんだっけ?

専業主夫になることがあっても何とかやっていけるかもな。

20230720 流行ってない方のネタの話

どうでもいいけどTwitterに書くには長いことをここに書くといいと気づいた。

友人と話していて「芸人の流行ってない方のネタを言う」というノリが発生することがある。小島よしおの「大丈夫大丈夫」とか、エド・はるみの「おっぱい飲みたいの」とかだ。この時点で何のことかわかんない人もいるだろうな。

つまり、一世を風靡したギャグ、ネタを持っている人がその前後にやってた流行らなかったネタをしつこく覚えていて言う、というくだりってことです。

このくだりだとギリギリ世に出てるくらいのネタが選ばれると思うけど、おそらくもっとマイナーな、個人的に覚えているだけの流行ってないネタを思い出して記録しておく。

髭男爵の「演歌歌手」

浴衣を着て出てきた2人が従来なら「〇〇やないかーい」で乾杯するところ、山田ルイ53世がコブシを効かせた風に歌い、樋口くんが紙吹雪を散らすというネタ。やっていることは貴族の時と全く一緒なんだけど、ビジュアルが派手になるしテンポも変わるので新鮮で面白かった。

・じゅんいちダビットソンの「アメリカ人」

本田圭佑のモノマネで売れる前にやっていたネタ。アメリカ人に扮してなんかのベスト3を紹介するというネタだった。ハンバーガーのネタしか覚えてないのだが、第3位からチーズバーガー、てりやきバーガー、ハンバーガーという相当しょうもないランキングだった。

ただ、やたらとしっかり振ってからしょうもない事を言うので、笑いどころが分かりやすくてひたすら面白かった記憶がある。家族で俺以外誰も笑ってなかったが。振りのしっかりした笑いが好きなんだよな、多分。

他にないかと思ったけどもう無かった。まあそんなもんか……

20230711 こだわりの話

食べ物にこだわりがないとよく言われる。まあ概ね正しいんだけど、正確に述べると「食べ物から得られる幸福度がカンストするのが人より早い」んだと思う。

どういう事かと言うと、例えば人気レストランの料理を食べた時とやよい軒の定食を食べた時で得られる幸福度がほとんど変わらないのだ。何ヶ月も予約を待って行くレストランと同じ幸福度をやよい軒で得られるならやよい軒に行くでしょ?という話である。

厳密に言うと食事体験の価値としては人気レストランの方が上回るけど、そこに付随する予約の手間とか待ち時間とか準備とか、そういう手間も込みで考えてしまった結果やよい軒と同点になる、というのが正確かもしれない。

つまりは意思決定がめんどくさいんだな。これは服装についても同じことが言えそうだ。

そういう訳でnoshで同じメニューを買い続けたり、ユニクロとGUの服を無限に着続けたりする人間が誕生する。何年後かにはミニマリストみたいな人間になっているかもしれない。でもちょっと憧れるんだよな、ミニマリスト。ものを捨てるのが面倒なのでとてもそんな部屋ではないんだけど。

食べ物にも服にもこだわりがないのに部屋は散らかってるってなんだよ。最悪か?

まずはものを捨てることから始めようと思う。

20230704 ゲームに求めるものの話

Twitterがオワコンになりそうなので日記を開設した。続くかは不明だが、避難先は多く用意しておくのがよさそうだ。「卵をひとつの籠に盛るな」というのは投資の名言だったと思うが、いろいろな場面で役に立つ言葉だと思う。

ゲームのことを考えていた。ゲームにはいろいろなジャンルがあり、人それぞれ好みも違う。人にゲームの話を聞くと、自分とあまりにも考えが違って驚くことがある。

例えば最近(といってももう2ヶ月近く前だ)出た「ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム」なんかがそうで、僕はこんなもんゲームを趣味としている人間は全員やってるもんだと思っていたのだが、全然やってないという人もいる。なんならブレスオブザワイルドからやってない人もいた。

僕からするとこんな歴史に名を残すゲームをなぜやってないのか!と思うのだが、当人たちからすると「アクションが苦手」とか「オープンワールドが好きじゃない」とかの理由があるわけで、それはそれで仕方ないかと思った。僕にとっては歴史に名を残す作品でも、別の人にとっては苦手なジャンルの一作品に過ぎないことがあるのだ。世界の認識の仕方というのがこんなに違うことがあるんだな、というのは大げさだろうか。

では僕はゲームの何が好きなのか、ということを考えた。色々あるが、一言でいえば「対話」なのではないかと思っている。より正確に言えば「ゲームを介した非言語的なコミュニケーション」を好んでいるということになる。

またゼルダの話になるが、例えば深い谷があってその手前に翼(翼を広げた鳥のような形の乗り物)と扇風機が置いてあるとする。これはこのゲームを作った人が「翼と扇風機を使って飛行機を作って谷を渡ってね」と言ってきていると解釈できる。で、実際に飛行機を作って渡ると新しい目標が配置されているのだ。こうやって誘導に積極的に乗ることで製作者と対話して(いるような気になって)楽しむというやり方を僕は取っている。

もちろんゲームの楽しみ方は自由なので、谷に橋をかけてもいいし谷を回避しても良いのだが、僕にとっては製作者の意図を汲み取って行動するというのが楽しい。

最近はオンラインプレイがあるので、製作者だけではなく見知らぬ誰かと対話するというやり口もある。僕はポケモン対戦のダブルバトルをやるのだが、これも対話だ。

こちらのハバタクカミと相手のテツノカイナが対面した時、素直に動けばムーンフォース一撃で倒せる。相手もそれをわかっているのでテラスタルでタイプ変更してベビーボンバーで返り討ちを狙いに来る。そしてこちらもその可能性を分かっているので素直に攻撃せずにウインディに引く。こういった駆け引きを毎ターン行うゲームなのだ。楽しい。しかも場に4体いるので考えることが多く複雑になる。最高だ。

こういう遊び方が楽しいと気づいてからはぺリッパーとかカマスジョーとか性能の尖ったポケモンを起用する頻度が減り、より対応範囲が広いスタンダードな構築をよく使っている。うまく相手の攻撃を捌いて勝ち切れた時は、本当に最高のゲームだな〜〜と思う。

逆に、何らかのギミックで爆発的な火力を出されて殲滅される、という負け方をするとげんなりする。対話を拒絶されて蹂躙されるのだから気持ちいいわけが無いな。一本勝負のオンライン対戦ならそれが理に適っていると言われればまあそうなんだけど。オフ会にでも出てみて2本先取の試合とかやるほうがいいのだろうか。

ゲームで知り合った人と顔を合わせて対話したことは一度も無いかもしれない。言語を使ったコミュニケーションは苦手だ。